風呂上がりに、洗ったばかりのタオルを顔へ押し当てる。
柔軟剤の匂いより、乾いた繊維の感触が先に来ます。
数秒で終わるのに、妙に覚えている。
その日、人の手は一度も触れていなかった。
あとになって気づくのは、だいたいこういうことです。
女性用風俗「露花」に在籍している、青です。
40歳。本業を続けながら、月に3日から5日ほどセラピストをしています。
女風のサイトを見ていると、「非粘膜接触」という言葉が出てきます。
漢字が六文字並んだだけで、急に利用規約っぽくなる。
これで分かれというほうが少し無理です。
調べている方が知りたいのは、言葉の定義だけではないはずです。
どこまで触れるのか。薄い時間にならないか。怖くなったら止められるのか。
たぶん、そのあたり。
料金は2時間で24,000円です。
安い金額ではありません。
そこもぼかさず書いておきます。
「非粘膜接触」のところで、画面を閉じる
プロフィールを何人分か見て、料金ページまで行く。
そこで「非粘膜接触」の文字を見つけて、いったん戻る。
もう一度検索してみるけれど、今度は知らない言葉が増える。
調べる前より分からなくなるやつです。ネットではよくあります。
粘膜は、口の中や性器、肛門、目のふちなどにある組織です。
皮膚とはつくりが違い、外から入るものへの防御も同じではありません。
非粘膜接触は、その部分には触れず、皮膚への接触だけで時間を組み立てるという線引きです。
露花で私がしていることも、ここに収まります。
ただし、この言葉は法律や医学で統一された名称ではありません。
店やセラピストによって、示している範囲が違う場合があります。
同じ言葉が書いてあっても、同じ内容とは限らない。
少々ややこしいですが、ここは確認していいところです。
- 制限があるなら、物足りない時間になるのではないか
- 24,000円を払って、納得できなかったらどうしよう
- そもそも自分が何を求めているのか、うまく言えない
- 質問しただけで、予約する流れになりそうで怖い
ご連絡をくださる方も、最初から希望が整理されているとは限りません。
「何がしたいのか、自分でも分かりません」と書かれていることがあります。
分からないまま連絡するのは、別におかしくないです。
むしろ、知らないサービスの希望を事前に完璧に言えるほうが珍しい。
人の手が、自分の肩に置かれる回数
一日のなかで、自分の肩に誰かの手が置かれる回数。
数えると、ゼロの日がかなり多いのではないでしょうか。
会社では人に触れません。
子どもが大きくなれば、触れる用事も減っていく。
同じ家に人がいても、身体的な距離は別の話です。
親の身体を支えたり、家族の背中をさすったりすることはある。
でも、自分が触れられる側になる機会はない。
方向が片方に寄ったまま、何年か経っている。
人の皮膚には、ゆっくりした接触に反応する神経があります。
研究では、一秒あたり数センチほどの速さで撫でたときに反応しやすく、その速度は心地よいと感じやすい範囲とも重なります。
考えるより先に、皮膚の側が受け取っている。
身体はそのへん、こちらの理屈をあまり待ちません。
2024年には、触れられることと心身の状態に関する137本の研究をまとめた分析が発表されました。
対象は12,966人。痛み、不安、落ち込みなどで変化が見られ、とくに不調を抱えている人では効果が大きい傾向が報告されています。
数字を出すと、急に研究発表みたいになりますね。
ただ、感覚だけの話にしておきたくなかったので、ここは置いておきます。
触れられる機会が減ったことを、生活の失敗とは思いません。
仕事や家のことを続けていたら、いつの間にか自分の分だけ後ろへ回っていた。
それに近いのかもしれません。
初回なら、2時間くらいがちょうどいい
2時間コース
24,000円
ご予約前に総額をお伝えします。当日の追加はありません。
- 1分あたり
- 200円です。こう直すと安く見える、という話ではありません。比較しやすいように数字を割っただけです。
- 半年に一度利用した場合
- 1日あたりでは約132円。毎月通う前提で考える必要はありません。
- 料金に含まれる時間
- 待ち合わせから解散までの2時間です。事前のやり取りや、予約前の相談だけで料金が発生することはありません。
90分だと、少し急ぎます
初対面の相手と会って、開始直後から自然に話せる人は多くありません。
私もできる側ではないです。セラピストなのに。まあ、そこは別の技術ということで。
最初の15分から20分は、移動したり、飲み物を選んだり、話せる範囲を確かめたりします。
90分だと、その時間を気にしながら進めることになる。
逆に初回の4時間は、長さそのものが負担になる場合があります。
知らない人と半日近く過ごすのは、それなりに体力を使います。
2時間なら、急がずに始められて、疲れ切る前に終われる。
私が初回の目安にしているのは、そのくらいの理由です。
2時間の中身は、わりと地味です
何か劇的なことが起きるのかと言われると、起きません。
少なくとも、私は起こそうとしていないです。
- 待ち合わせ
駅の改札やコンビニの前など、分かりやすい場所で会います。人の多い場所が苦手なら、少し外れた場所でも構いません。 - 移動しながら話す
体調や最近のこと、苦手な接触などを聞きます。きれいに説明できなくても大丈夫です。話せる分だけで進めます。 - 部屋に入る
荷物を置き、飲み物を用意して、もう一度確認します。入室したからといって、すぐに触れることはありません。 - 触れる時間
肩、背中、腕、脚など、皮膚のある場所にゆっくり触れます。強く押すマッサージではありません。途中で止める、場所を変える、触れない時間に戻す。どれもできます。 - 少し休む
終わりの20分ほどは、また話すことが多いです。黙って過ごす方もいます。私は沈黙で困るタイプではありません。 - 解散
駅までお送りします。次回の予定を、その場で決める必要はありません。
書き出してみても、やはり地味です。
派手なサービスを期待している方には、たぶん合いません。
私が気にしているのは、何をするかより、嫌なことを増やさないことです。
途中で気持ちが変わるのも含めて、その時点の言葉をそのまま受け取ります。
最初に決めた範囲を、最後まで守り抜く必要もない。
狭くする変更なら、何回あっても構いません。
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この年齢で利用するのは、変ではないですか
露花では、40代と50代の方から多くご予約をいただいています。
60代、70代の方もいらっしゃいます。20代のほうが少数です。
年齢を聞いて、私が驚くことはほとんどありません。
というより、40歳の私も若者側ではないので、驚いている場合ではない。
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私の仕事に、体重を測ったり、体型を評価したりする工程はありません。
体型を理由に、私からお断りしたこともないです。
当日に向けて何時間も支度をした、と話してくださる方がいます。
その時間を否定する気はありませんが、私に合格をもらうための準備なら不要です。
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無理に話題を作らなくて大丈夫です。
質問をして、返ってきた分だけ受け取ります。
私は大勢を盛り上げるのが得意ではありません。
会話が途切れたら、途切れたままでも平気です。
セラピスト歴3年、沈黙で遭難したことはまだありません。
家族には知られたくありません
お客様の情報を第三者へ伝えることはありません。
待ち合わせ場所や連絡する時間帯も、都合に合わせて調整します。
夜は通知が困る。平日の昼しか返信できない。履歴に残る連絡は避けたい。
条件があれば、先に書いてもらえると確実です。こちらから予告なく連絡することもありません。
予約したあと、怖くなったらどうすればいいですか
「今日はやめておきます」と送ってください。
長い理由は要りません。
前日に平気でも、当日の朝に無理になることはあります。
昨日の自分が決めたことより、当日の自分の感覚を優先して構いません。
非粘膜接触なら、感染症の心配はありませんか
リスクはゼロになりません。
粘膜への接触を避けることで下げられるリスクはありますが、皮膚同士の接触で感染する可能性があるものも存在します。
私は「安全です」とは言い切りません。
非粘膜接触という線を守ることと、定期的に検査を受けること。私ができるのはそこまでです。
検査結果は、ご希望があればお伝えします。
24,000円は、生活費を削って出す金額ではないと思っています。
来月の支払いに響くなら、今回は使わないほうがいい。私は月に3日から5日しか現場に出ません。
枠は多くありませんが、無理をして埋めてもらいたいわけでもないです。
半年後でも、来年でも、余裕があるときで構いません。
40歳の私と過ごすとしたら
昔のバンド名に、説明がいらない
90年代から2010年前後のヴィジュアル系を、今もよく聴きます。
Dir en grey、LUNA SEA、黒夢、Laputaあたり。
YouTubeでは「いにしえのヴィジュアル系ピアノカバー」という、名前の時点で年代が割れるチャンネルもやっています。
隠す気があるのかないのか。たぶん、ないです。
当時の曲や雑誌の話に、長い注釈はいりません。
もちろん音楽の趣味が違っても問題はないですが、昔の固有名詞がそのまま通じるのは、少し楽かもしれません。
仕事や年齢の話を、遠くから聞かない
本業は、とある専門業界で16年目です。
セラピストだけをしているわけではありません。
仕事の責任が増えること。親の年齢が気になり始めること。以前と同じ回復の仕方では足りなくなること。
40歳なので、そのあたりは想像だけで聞かずに済みます。
分かったふりはしたくありません。
ただ、自分にもある話として聞ける範囲は、20代の頃より増えました。
月に数日だから、詰め込まない
稼働は月に3日から5日ほどです。
本数を増やす働き方ではなく、一日に何件も続けることもしていません。
枠が少ないのは、利用する側からすれば不便です。
そこを長所のように言い換えるつもりはありません。
ただ、次の予定に追われながら目の前の時間を進めることはない。
今の私には、このくらいが合っています。
連絡は、一行からで足ります
- LINEを追加する
追加しただけでは予約になりません。こちらに何かが決まった状態で届くこともないので、そのまま置いておけます。 - 一行だけ送る
「はじめてです」で十分です。名乗るかどうかも、その時点ではお任せします。 - 決まっていることだけ答える
日程、場所、コースなどを順に確認します。決めていない項目は「未定」で構いません。 - 総額を確認する
コース料金、交通費、部屋代の扱いを事前にお伝えします。金額を見てから止めても問題ありません。
総額を確認したところで、いったん連絡が止まることもあります。
私はそれを、断られたとは受け取っていません。
情報が足りたので閉じた。
そのくらいのことです。
タオルの感触だけが残った日
風呂上がりのタオルが妙に気持ちよかったからといって、すぐ何かを予約する必要はありません。
そこまで話を飛ばすと、さすがに営業が元気すぎます。
ただ、自分が触れられる機会を何年も持っていなかった。
その事実に気づくことはあります。
母、妻、娘、社員。
そういう役割が嫌いなわけではない。大事にしている人もいるでしょう。
それでも、役割を持たない時間を自分のために確保することは、誰かを雑に扱うこととは違います。
自分の生活を壊さない範囲で、自分の分も残しておく。
非粘膜接触という線の内側で、2時間。
私がしているのは、それです。
皮膚は、案外ずっと覚えています。
本記事に登場するお客様の様子は、複数の事例をもとに構成し、個人が特定されないよう細部を変更しています。
触覚と心身への影響に関する記述は、Packheiserらが2024年にNature Human Behaviour誌へ発表した系統的レビューおよびメタ分析(137研究、12,966人)と、C触覚線維に関する既存研究に基づいています。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や治療を目的とする医学的助言ではありません。感染症検査については、お住まいの自治体の保健所、性感染症内科、婦人科などへご相談ください。





