女性用風俗店露花(ろか)に在籍するセラピスト・匠さん。
35歳、東京生まれ東京育ち。
小学校から大学まで野球に打ち込み、東京選抜にも選ばれた経験を持つ体育会系の一面がある一方、丁寧な接客と確かな境界線を大切にするセラピストだ。
実は約6〜7年前に一度、別店舗で女性用風俗の世界を経験している出戻り組でもある。
業界の変化、お客様へのスタンス、プライベートとの線引き。
匠さんの言葉から、その人柄と仕事観に迫った。
| プロフィール | |
| 名前 | 匠(タクミ) |
| 年齢 | 35歳 |
| スタイル | 176cm / 70kg |
写メ日記
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自己紹介:「匠」という名前に込めた想い
青: まず、簡単に自己紹介をお願いします。お名前の由来なども聞かせていただけますか?
匠: 名前は匠です。年齢は35歳で、出身は東京。生まれも育ちも東京で、今も東京に住んでいます。本業はフルタイムの会社員で、ざっくり言うとサービス業に近い仕事をしています。
青: 「匠」というお名前は、ご自身で考えたんですか?
匠: いえ、これはお店の方からいくつか候補をいただいた中から選びました。実は最初は別の名前だったんです。スタートする時に決まっていたんですけど。
デビューするタイミングで全く同じ名前の方がいることが分かって、もう一度候補を出してもらったんですね。その中に「匠」がありました。
青: 「匠」を選んだ決め手は何だったんでしょう?
匠: 自分の中で「匠」という名前や意味には、職人とか巨匠みたいなイメージがあったんですね。セラピストという仕事でもあるので、技術にしても接客にしても、ちょっとでも秀でた存在でありたいという気持ちがあって。
自分にプレッシャーをかけるというわけではないですけど、そういう意味合いも込めて「匠」がいいかなと思って選ばせていただいたというところがあります。
あとは、学生の頃から結構、斎藤工さんに似ていると言われることがあったんですね。それで「匠」という名前にわりとしっくりきたというか、好意的な印象があったんです。それで選んだという感じですね。
青: 他の候補って覚えていますか?
匠: ……。ちょっと代表とのLINEを遡れば出てくると思うんですけど、すぐには思い出せないですね。
青: それぐらい「匠」がしっくりきたということですね。
匠: そうですね。しっくりきたというのと、最初の名前で「これで行きましょう」と決まった次の日ぐらいに「やっぱり使えなくなりました」と言われて、自分の中でまだ覚える前にまた別の候補が上がってきた。それで匠になったという流れがあったので。
野球少年時代:東京選抜、そして坊主からの解放
青: ずっと東京生まれ、東京育ちで、学生時代は野球をやっていたと聞きましたが。
匠: そうですね。小学校から始めて、大学は途中でやめてしまったんですけど、わりとしっかり20代前半ぐらいまではやっていた気がします。
青: ポジションや成績みたいなところは言える範囲でありますか?
匠: 中学の時はわりと強いチームにいて、全国に行くか行かないかぐらいのところまでは行っていました。東京の選抜に選ばれたこともあります。ポジションはずっと外野でした。
ただ、中学がそういうレベルだったこともあってきつすぎたので、高校はもう少し緩く楽しくしたいなって。
でも高校でも野球部に入ったら、なんだかんだでわりといいところまで行くことになって、行ったっていう。大学に入ってからは、わりと楽しみながらやっていました。
高校の時まで本当にずっと坊主だったので、大学に入るまでワックスを使ったことがなかったですね。
青: 好きなチームや好きな選手っていますか?
匠: 東京だったので、東京のチームのヤクルトスワローズですね。ただ、好きな選手で言うと世代的にはやっぱりダルビッシュです。
あの世代が一番やっぱり印象的でしたね。ヤクルトはそんなに目立った選手がいなかったので(笑)。
青: 好きなチームと好きな選手がそれぞれ別にいるんですね。野球好きのお客様もいらっしゃるので、いい話題になりそうです。
匠: そうですね。いろんな話ができるかなと思います。
青: あの、敵チームのファンだったらちょっと大変かな…?
匠: そうですね、気をつけます(笑)
女性用風俗との出会い:6〜7年前の最初の経験
青: この業界のことは元々知っていたんですか? それとも何かで調べていてたまたま目に入った感じですか?
匠: こういう業界があるということは、わりと前から知ってはいました。実は結構前なんですけど、6〜7年ぐらい前にもなると思いますが、一度こういう業界で働いていた時期があるんですね。
青: だいぶ前ですね。それは女風の店舗に一度入った経験があるということですね。いわゆる大手みたいなところですか?
匠: いや、そんな大きいところではなかったですね。
青: どれぐらい働いた感じですか?
匠: 本当に1年はなくて、半年ぐらいです。自分の仕事が変わったりして環境がいろいろ変わってしまったのと、シフトにもあまり入れなくなって、自然ともうやめてしまったというところがありますね。
青: その時はバイトして稼ぎたいみたいな動機だったんですか?
匠: そうですね。その時は稼げたらいいなみたいな感じで。シフトも自由だったので、働きやすいところもあるなって。
印象的だったお客様 :ダイレクトな感謝の言葉
青: 当時の接客で何か印象的なことはありましたか? お客様が特定できない範囲で。
匠: 基本的には今の露花と同じような接客の流れで、施術の時は普通にマッサージして、その後に性感みたいな形になると思うんですけど。
お客様にもよるとは思いますが、わりと会話ベースでずっとやっていたんですね。共通の話題があったりもしたので、わりと会話がずっと弾んで、和やかな雰囲気で過ごしていました。
そのお客様から、終わった後に「本当に楽しい時間を過ごせました」と言っていただいたことがあって。その時はすごく自分の中で充実感がありましたね。
青: 普段の本業ではなかなかそういうダイレクトな言葉をもらえることって少ないですもんね。
匠: そうなんです。普通に働いていても、ダイレクトに感謝というか、「良かった」というのを伝えられることってそんなにないと思うんですよね。本業もサービス業ではありますけど、女風の場合は自分自身のやっていることに対してダイレクトな感想になると思うんです。
飲食であれば美味しいご飯があればそれで満足してもらえるし、おしゃれなお店ならそこで過ごす時間が良ければ満足される。
でもこういう仕事は、自分自身の接客と施術がダイレクトに印象と感想として跳ね返ってくる。その中の一部で「良かった」と言ってもらえたことは、すごく自分の中で嬉しかったなと思います。
やりきれなかった思い、そして露花へ
青: その経験があって、もう一回やろうと思ったきっかけは?
匠: その時も大変なことはありましたけど、やっぱりやっていて楽しいというか、やりがいを感じた瞬間もあったんですよね。
環境の変化で中途半端に終わってしまったというのもあって、「もうちょっとこういうことできたんじゃないか」という思いがどこかにあったんです。
タイミング的にもう一回やってみてもいいかなと思って探している中で、露花に入らせていただいたという経緯です。
青: 女風経験者という事は、露花の他のキャストの方は知らないかもしれないですね。
匠: そうですね。この前、写真の撮影で初めて何人かの方にお会いした時に、お話しする中でそういう話はちょっとしましたけど。まあ、そういう経緯もあって入ったという感じですね。
業界の変化:6〜7年で何が変わったか
青: ちょっと意外だったんですけど、6〜7年前に一度やって、復帰して。昔のことでも今のことでもいいんですけど、やる前と今とで「こんなに違うんだ」とギャップを感じたところはありますか?
たとえばセラピスト目線で言うと、もっと予約が入ると思ったけど全然入らないとか、意外と普通のお客さんが多いんだなとか。世間の人が考える女性用風俗と、内部にいるからこそ感じるギャップみたいなものはありましたか?
匠: そうですね。当時と今で比べると、やっぱり当時はだいぶ前なので、今よりもお店がそんなに多くなかったと思うんですよね。
大手と言われるようなところはあったと思うんですけど、わりと小規模なところは今よりもずっと少なかった。
わりと興味を持って問い合わせしてくる方がいても、受け皿が何箇所しかないので、問い合わせが結構来るんですよ。で、それにいるスタッフで対応できる人が行くみたいな感じで。
当時はいろんな時間帯といろんな場所でそういう依頼があったので、行けないタイミングとか行けない時間帯もやっぱあったりして、チャンスロスはあったにせよ、そういう機会は結構多かったと思うんです。
青: お断りするシチュエーションも多かった?と。
匠: はい。たとえば「今から〇〇のどこどこに1時間以内に行けますか?」みたいな問い合わせに対して、「ちょっとその時間帯からだと行けないです。何時だったら行けます」「あ、じゃあちょっと別の人で」みたいな。そういうのは結構多かったですね。
でもやっぱり今はお店も多いので、お客様もいろいろ見た上で選ばれるというところで、どうしても普通に今までの感覚でやっていると埋もれてしまうところがある。
以前の感覚でいて、入ってみるとやっぱりなかなか普通にやっていても難しいなというのは、入る前と入った時で思うところはやっぱりありますね。
でもその時にあまり活用できていなかったSNSとか、そういうツールが今はあるので、そこをうまく使っていかないとダメなんだなというのは正直に思いました。
青: 日々の発信だったり、ツイキャスの配信だったり、DMだったり。
匠: そうですね。DMとか、当時は全然やっていなかったので、「こういうこともやるんだ」というのは正直な感想でしたし。ある意味、復帰した身からすると、この6〜7年の変化は非常に大きかったですね。
青: 匠さんを指名されるお客様の層についてはどうですか?
匠: わりと同い年ぐらいの方が多かったですね。当時は20代後半から30代が多かったイメージです。その中で1〜2割ぐらいが50代ぐらいの方がいらっしゃったかなというぐらいで、基本は30代あたりが多かったかなというイメージがあります。
青: これ、他のセラピストの皆さんにも同じことを聞いているんですけど、やっぱり30代、40代ぐらいが多いというのは皆さん同じようにおっしゃるので。本当に普通のご利用が多いなというのは感じますよね。
匠: 本当に普通の方ですね。「今日も仕事してその帰りなんです」みたいな方もいますし。
世間のイメージとしては、結構、夜の仕事をしている方とか、なんか偏った趣味があるとか、ちょっと癖があるような方が選ぶのかなというイメージがやっぱりあったんですけど、そういうことではなく。
本当に人によってはお話をするのが好きなんですという方もいたりして。本当にいい意味で普通な方が多かったので、そこはやっぱり入ってみて対応した時のギャップはすごくありました。
マイポリシー:絶対にやらないこと
青: SNSを開けばいろんな情報が、いいことも悪いこともある中で、匠さん的に「これは絶対やらない」というポリシーはありますか? ここだけは超えないよ、これはやらないよ、みたいな。
匠: そうですね。これはお店にいるからとか関係なく、Xとかでは結構激しいことを言ったりすることもありますけど、誰かの悪口を言ったり、貶めるようなことはしたくないというのはあります。
あとは、たとえば同業者の方がいたとして、「このお店はこういうことで良くないですよ」とか、「ここにいるこの人は本当にいろんなところで悪い噂がありますよ」とか。
本当かどうかは別として、特に自分自身も直接知らないような人に対してそういうことは絶対に言わないようにはしていますね。
青: 悪口は言われてもまあまあと受け流して、自分からは言わない。自分が言ってしまうとどこかで自分の話もされるかもしれないですし、すごくいいスタンスだと思います。
匠: そうですね。
境界線の引き方:ガチ恋とプライベート
青: 実際にいわゆる「ガチ恋」というか、プライベートで繋がりたいとか、恋愛感情を持たれたりしたことはありますか?
匠: あります。以前のお店の時に。
青: どういう風に対応されたんですか?
匠: 断りましたね。その時は初めての方で、終わった後にまずLINEを教えて欲しいと言われたんです。今だったらお店用のアカウントのLINEとか、XにしてもLINEにしてもあるとは思うんですけど、当時はそういうのがなくて、本当に個人のLINEだったんですね。
青: 確かに、個人のLINEだとちょっと違いますよね。
匠: はい。個人のLINEを渡してしまうと、自分の中でも切り替えができなくなるというか。休みの日に連絡が来たりすると、自分のパーソナルな生活リズムが分かってしまう気もする。
そういうことも含めて、個人のLINEはお伝えできませんとちゃんとお伝えして、「もしよければまたご連絡ください」という形にしました。
青: その後はリピートされましたか?
匠: いや、はなかったですね。
青: なるほど。でも匠さんは、プライベートとの境界線をすごく重要視しているんだなと、全体を通じて感じます。しっかり切り分けている感じがありますね。
匠: そうですね。
青: わりとその、予約時間内は恋人のように過ごすけれども、予約時間外はしっかりとお仕事として対応を使い分けているという感じなんですかね。
匠: はい。やっぱりあくまでお店の中の人間という感覚でいたいなと思っていて。そこを混同してしまうと、自分としても切り替えができなくなる。
不器用なところがあると思うんですけど、逆にこういうお仕事をする上でもあまりいい方向に行かないような気もするので。
素の自分と、セラピストとしての自分
青: プライベートの自分と、女風セラピストとしての匠さんって、性格は違いますか?こう別人格なのか、それともプライベートの自分の中のすごくいい部分だけ抽出したのが今の匠さんになっているのか。あくまで自分の一部なのか。
匠: 基本的には変わらないと思うんですけど、やはりお金をいただいて、お時間をいただいているというところで、限られた時間の中なので。
なるべくちゃんと対話をして、どういう人なのか、こういうのはあまり好きじゃないのかとか、そういうのをちゃんと把握しながら丁寧にやっていきたいというのがあるので。
そこら辺は普段の自分の、友達を含めて人との接し方とはやっぱり若干違うかなと思います。
青: 普段も丁寧だけど、より丁寧さを増し増しにした感じですか?
匠: そうですね。普段はもっとフランクで、ふざけたこと言ったりとか、もうちょっと砕けてはいると思うんですけど。どうしてもそれが硬くて、あまりいい印象じゃないと思う方も多分いるとは思うんです。
でも自分の中で、最初の入り口の部分はすごく丁寧にやっていきたいというのがあって、あまり最初から親しい距離感みたいな感じでやらないようにしているというところで言うと、普段の友人に対しての接し方とはやっぱりちょっと違うかなと思います。
顔出しへの覚悟:バレる恐怖と安心感のはざまで
青: 女風の仕事って、知り合いや会社の人に言える副業ではないのが一般論だと思いますが、何かその自分自身への後ろめたさとか葛藤みたいなものってありましたか?
匠: やっぱり最初の前のお店の時は、どこかで何かのタイミングでバレたらどうしようという気持ちはありました。知らないところでバレて広まっていっちゃった場合、どうしようみたいな。
青: それは今も変わらずありますか?
匠: 今は本当にもう10代、20代の時ではないので、関わっている人も本当にそこまで多いコミュニティじゃなくなっているし、当時よりはそこまで思ってはいないかなというところはありますね。それもあって、顔を全部隠していないというところもあるんですよね。
青: 目元が出ているのは、結構勇気がいるポイントですよね。どこまで出すかっていう。
匠: そうですね。もう、たどり着いて知った人であれば多分分かってしまうものだと思うので。お客様に安心して欲しいという気持ちもありますし、自分磨きはなるべくちゃんとやるようにはしていますけど。
全部隠した時にギャップで実際の印象を裏切ってしまうのもちょっと申し訳ないなと思うんです。ちょっとでもリアルな感じがイメージできる方がお客様にとってもいいかなと思って、全部は隠さないでいるという感じですね。
お客様へのメッセージ
青: 最後に、この記事を読んでくれた方にメッセージをお願いします。自分を予約してくれたら、どういう風に気分よく楽しい時間を過ごして帰れるか、みたいなところで。
匠: はい。今日いろいろインタビューでお話しさせていただいた通りで、自分の中での目標は、限られた時間の中でお客様に満足していただくことがやっぱり目標なんです。その中でいろいろなご希望とかあると思うので、それは本当に気軽におっしゃっていただいて。
初めての方とか、やっと体験してみようと思っているけどちょっと迷っているような方もいらっしゃると思うので、もしご連絡いただけるのであれば、一緒に満足していただけるような空間を作っていけるように、自分もすごく努力して一生懸命頑張りますので。ぜひ気軽にお問い合わせいただければなと思っています。
稼働スケジュール
青: 稼働できる曜日や時間帯はどんな感じですか?
匠: 基本は平日はどうしても仕事があるので夕方過ぎからになります。早くて夕方ですね。土日はお昼ぐらいから日付が変わる前ぐらいまでは対応しようと思っているので、日中というか、その日1日という感じだと思います。
青: 宿泊とかは難しいですか?
匠: そうですね。いろいろその日の日程によると思うので、要ご相談という形になるかなと思います。
青: デートや通話ももちろんOKですか?
匠: はい。ただ通話はやっぱりできる時間帯が結構限られてくるので、なかなか対応ができない日が多いかもしれないですけど、一応できます。
最後に:伝えたかったこと
青: 全体を通して、言い忘れたことや、ここをメインに押し出したいみたいなところはありますか?
匠: 特に言い残したことはないような気はするんですけど、もし押し出したいところがあれば、自分がどういうスタンスでお客様に対して接客をしようとしているのかというところが伝えられたらいいなと思います。
青: 匠さんのスタンスがしっかり伝わる、いいインタビューになったと思います。本日はお時間ありがとうございました。
匠: こちらこそ、お時間ありがとうございました。よろしくお願いします。
編集後記 「匠」という名前が背負うもの
匠さんは、取材中ずっと言葉を選んでいた。
慎重に、というよりも、誠実に。自分の輪郭を正確に伝えようとする人特有の間があった。インタビュー慣れしていないと本人は言ったが、むしろその不慣れさが、飾らない言葉を引き出していたように思う。
印象的だったのは、6〜7年前に一度この業界を離れ、再び戻ってきたという経緯だ。
「もうちょっとこういうことできたんじゃないか」
その一言には、未練とも違う、どこか職業人としてのプライドのようなものがにじんでいた。稼ぎたいという動機で始めた仕事に、いつの間にかやりがいを見出していた。
それを中途半端に手放してしまった感覚が、数年越しに彼を再び女風の世界へ引き戻した。
女性用風俗という仕事には、世間からの視線がつきまとう。「バレたらどうしよう」という恐怖は、かつての匠さんにも確かにあった。それでも今、彼は目元を隠さない写真を選んでいる。
「全部隠した時にギャップで実際の印象を裏切ってしまうのも申し訳ない」
ここにあるのは、開き直りではない。相手の不安を想像できる人間が、自分のリスクを引き受けた上で差し出す誠意だ。
匠さんは、境界線を引くことに迷いがない。個人のLINEは教えない。プライベートと仕事は混同しない。
「不器用なところがあると思う」と自ら語ったその線引きは、しかし、不器用どころか極めて意識的な選択に見えた。
親密さを演じることで成り立つようにも見えるこの仕事において、あえて距離を保つことを選ぶ。その姿勢の裏側には、「限られた時間の中でお客様に満足していただく」ために、何が本当に必要かを考え抜いた跡がある。
最初から親しげに振る舞うことが良い接客なのだろうか。それとも、丁寧な距離感の中にこそ、安心して身を委ねられる空間が生まれるのだろうか。
小学校から大学まで野球を続け、東京選抜にも選ばれた少年は、職人を意味する「匠」という名前を自ら選んだ。
「ちょっとでも秀でた存在でありたい」
技術なのか、接客なのか、その答えはまだ本人の中でも揺れているのかもしれない。だが、その揺れごと引き受けて現場に立ち続けることが、たぶん、この仕事の誠実さなのだと思う。
取材の最後、言い残したことはないかと尋ねた時、匠さんはこう答えた。
「自分がどういうスタンスでお客様に対して接客をしようとしているのかというところが、伝えられたらいいなと思います」
その答えは、この記事そのものに委ねられている。
(聞き手・構成:青)




