川島町、と聞いて場所がすぐ浮かぶ人は、埼玉県民でもそれほど多くありません。
私も県外の人に説明するときは、「川越の上のほう」「圏央道の川島インターがある辺り」と、かなり大ざっぱに話します。所沢、ふじみ野、川島町を一つの記事にまとめるのも、地図だけ見れば少し強引です。
でも、車で店を巡る日の感覚では、この3エリアが自然につながります。
所沢でラーメンを食べ、ふじみ野でカステラを買い、川島町でだんごを持ち帰る。季節が合えば、最後に武蔵野うどんまで食べてしまう。胃袋の計算は合いませんが、道順としては悪くありません。
埼玉は「東京へ行く途中」として扱われがちです。けれど、食べたいものを一つ決めて車を走らせる休日には、東京へ近づく必要がない。私は、そんな埼玉の過ごし方が好きです。
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菓楽 工場直売所|カステラの端に弱い40歳
ふじみ野市大井にある「菓楽」は、カステラを中心に扱う工場直売所です。
私が初めて訪れたのは3年前。それから数えると、これまでに8回立ち寄っています。そのうち5回は、誰かへの贈り物ではなく、自分の夜食を買うためでした。
工場直売所という言葉には、少し不思議な引力があります。
きれいな箱に入ったカステラを見ると、私は「誰に渡そうか」と考えます。それが袋に詰められた切り落としになると、考える順番が急に「今日どこまで食べていいか」に変わるのです。
私が切り落としを食べるときは、最初の一切れだけ皿に載せます。
その一切れを食べ終わると、袋から直接もう一つ取る。合計で4切れ食べたところで、最初に皿を用意した意味がなくなります。これを過去に少なくとも3回繰り返しました。人間は、カステラを前にすると学習しません。
菓楽のカステラは、口に入れた瞬間より、噛んだ後に卵の輪郭が出てくる印象です。甘さが先頭を走るというより、生地の香りが少し遅れて追いついてくる。飲み込んだ後、上あごに残った生地を舌で探している自分に気づきます。
端の部分は中央より密度があり、噛む回数が2回ほど増えます。
たった2回です。ただ、この2回が好きなのだと思う。食レポっぽく書きましたが、要するに私はカステラの端が好きな40歳です。
公式Instagramでは、通常商品のほか、第2・第4土曜日の切り落とし販売も案内されています。限定販売は変更される場合があるため、訪問前に最新の投稿を確認してください。
所在地: 埼玉県ふじみ野市大井670-6
営業時間: 9:30~16:00
定休日: 月曜日
確認先: 公式Instagram「@karaku_castella」
らーめん たつ 小手指店|スープを飲む速度だけは分かる
所沢市北中にある「らーめん たつ 小手指店」には、これまで6回行きました。
店に入った瞬間に届くのは、豚骨スープと油の匂いです。上着に残るかもしれないと思いながら、毎回ほとんど気にせず座っています。
私がよく選ぶのは「たつめん」です。
最初の一口では、塩気が舌の中央に届きます。その後から豚骨の重さが広がるのですが、口の中を長く占領する感じではありません。スープを飲み込んでから、次の一口までの間隔が短くなる味です。
私は過去6回のうち、4回はスープを半分以上飲みました。
健康を考えれば残すべきだと分かっています。専門分野で16年も働いているので、塩分についても一応は理解しているつもりです。それでもレンゲを置いた約15秒後、もう一度持っている。知識と行動が一致しない例として、かなり分かりやすい人間です。
麺については、硬さを細かく見分けられる自信がありません。
「歯切れがよい」と書けば格好がつきますが、正直に言うと、私は麺の硬さが分からない側の人間です。ただ、スープを含んだ麺をすすったとき、口の中で塩気と油が一緒になる瞬間は分かる。その瞬間をもう一度確かめたくて、箸が止まらなくなります。
3回目に訪れた日は、店を出た後も10分ほど口の中にスープの余韻が残っていました。車に乗り、BUCK-TICKの曲を2曲聴き終えた辺りで水を飲んだのですが、それでも少しだけ香りが戻ってきたのを覚えています。
所沢のラーメン店は、都内の話題店のように「駅から何分か」だけでは選べません。駐車場、営業時間、一人で入ったときの落ち着き方。生活の中に入れられるかどうかが、再訪を決めると思っています。
ラーメンたつ以外の埼玉ラーメン店も、別の記事で私なりに選びました。
所在地: 埼玉県所沢市北中2-150-3
電話: 04-2936-6444
定休日: 水曜日
注意: 営業時間は変更される場合があるため、遅い時間は要確認
ふうりん堂|予定になかった甘いものは断りにくい
川島町周辺で出会った「ふうりん堂」は、固定店舗ではなく移動販売のスイーツ店です。
私が見かけたのは、午後3時を少し過ぎた頃でした。
その日はだんごを買う予定で、甘いものを追加するつもりはありませんでした。ところが販売車の前で商品を眺めているうちに、「見るだけ」という言葉の効力が失われます。
私は店の前で約4分迷い、最終的に2種類買いました。
一つに絞れないなら買わない、という判断ができればいいのですが、私は一つに絞れないと両方買う側です。お酒は350mlでも記憶が怪しくなるのに、甘いものを選んでいるときの判断だけは妙に速い。
最初に食べたスイーツは、冷たさが舌に触れた直後、甘みより乳の香りが先に広がりました。3口目になると舌が温度に慣れ、最初より甘さを強く感じます。冷たいスイーツは、一口目と後半で印象が変わるところがおもしろい。
車内で食べるつもりはなかったのですが、駐車場所を離れる前に半分ほど食べました。
残りは帰宅後に、と考えていたはずです。気づけば容器は空でした。川島町を出るまでに完食したので、持ち帰り時間は推定12分です。
移動販売は、住所を入力すれば必ず会える店ではありません。出店日や場所を調べ、予定が合わなければ次の機会を待つ。その不便さも含めて、固定店舗とは違う記憶になります。
なお、営業形態や販売内容は変更される可能性があります。公式SNSなどで最新の出店予定を確認してから探してください。
営業形態: スイーツの移動販売
訪問時の注意: 出店日・出店場所を事前確認
滞在時間の目安: 私の場合、迷った時間を含めて約10分
千明だんご 川島店|温かいうちに食べたい一本
川島町新堀にある「千明だんご 川島店」には、過去2年で9回立ち寄りました。
川島町、と言って場所がすぐ分かる人は少ない。埼玉県民同士でも「圏央道の川島インターがある辺り」と説明したほうが早いことがあります。
でも、千明だんごへ向かう日は、川島町が通過地点ではなく目的地になります。
私がよく選ぶのは、しょうゆだんごです。
焼きたてを受け取ると、串を持つ指にまだ少し温度が伝わります。表面のしょうゆは香ばしいのですが、口へ入れると塩気だけが強く残るわけではありません。噛んだ瞬間に米の甘みが開き、その後から焼き目の香りが戻ってきます。
一本を食べ終えるまで、私の場合は6口です。
最初の2口は味を確かめるつもりで食べます。3口目から速度が上がり、最後の一口になって「もう少しゆっくり食べればよかった」と思う。この流れを9回の訪問で、少なくとも7回は繰り返しました。
だんごは、説明しすぎると遠くなる食べ物かもしれません。
焼き目、しょうゆの香り、歯が沈んだときの抵抗。高価な料理のように材料を一つずつ分析しなくても、食べた瞬間に気持ちが分かる。私はそういう食べ物に弱いです。
写真を撮ろうとしたこともあります。
ただし、温かいだんごを持ったまま構図を考えられるのは20秒ほどでした。21秒目には一口食べています。食べ物の撮影には、私より我慢強い人が向いているのでしょう。
これまでに一度だけ、家へ持ち帰るつもりで多めに買い、車内で2本食べたことがあります。袋の本数が合わない理由を考えましたが、犯人は私しかいません。
埼玉には、東京の有名パティスリーのような華やかな印象はないかもしれません。けれど、車を停めて一本のだんごを食べるだけで、その町の名前を覚えられる。私は、そういう店があることを埼玉の強さだと思っています。
千明だんご以外の埼玉カフェ・スイーツも、甘さの感じ方を含めて書いています。
所在地: 埼玉県比企郡川島町新堀292-1
電話: 049-297-2022
営業時間: 9:00から夕方まで
定休日: 木曜日を基本に店頭カレンダーを確認
本手打ちうどん庄司|38回噛んで分かった武蔵野うどん
川島町上伊草にある「本手打ちうどん庄司」には、これまで5回行きました。
春に1回、夏に2回、秋に1回、冬に1回。季節によって食べたい料理が変わるので、同じ店でも訪問時の印象が少しずつ違います。
夏に選んだのは、川島町の郷土料理「すったて」です。
ごまや味噌、夏野菜を使った冷たいつけ汁に、太いうどんをくぐらせて食べます。最初に届くのはごまの香りです。その後から味噌の塩気が広がり、野菜の水分が口の中を少し軽くしてくれます。
初めて食べたとき、一口分のうどんを何回噛むのか数えました。
結果は38回。
仕事柄、数字が気になる癖があります。ただ、38回目まで数えたところで、何の役に立つのか分からなくなりました。分かったのは、噛むほど小麦の甘さが出てくることと、食事中に数字を数えると会話が止まることです。
武蔵野うどんは、表面をなでるように食べる麺ではありません。
歯を押し返す力があり、噛むたびに輪郭が少しずつ崩れていきます。つけ汁を多く絡めた一口と、うどんだけに近い一口でも印象が変わる。私は後半になるほど、つけ汁へ入れる時間を短くします。
冬に食べた呉汁は、大豆の丸みが汁全体に広がり、すったてよりも体の内側に残る感覚がありました。店を出て約20分後、車の暖房を一段下げたことを覚えています。
埼玉のうどんは、香川ほど全国的な知名度がありません。けれど、店ごとの太さや噛み応え、つけ汁の違いを車で巡れる県は、それほど多くないと思っています。
武蔵野うどんは、私にとって旅行先で初めて出会う名物ではなく、生活の近くにあった食べ物です。だから、大げさに持ち上げるより、「今日はうどんにするか」と自然に選べる距離を大事にしたい。
所在地: 埼玉県比企郡川島町上伊草743-9
電話: 049-297-7703
営業時間: 10:30~14:30ラストオーダー
定休日: 不定休
駐車場: 17台。土日祝は臨時駐車場あり
注意: 売り切れ次第終了。公式サイトの月間予定を要確認
所沢・ふじみ野・川島町で、東京へ向かわない休日
所沢、ふじみ野、川島町をまとめて西部埼玉と呼ぶと、地理に詳しい人から「少し雑では」と言われるかもしれません。
その指摘は正しいです。
でも、店を目的に車で走る日の感覚では、この不揃いな並びが心地よく感じられます。
所沢でラーメンを食べ、ふじみ野でカステラを買い、川島町でだんごを一本食べる。季節が合えば、すったてや呉汁を選ぶ。効率よく観光地を回った達成感とは違い、「今日は埼玉で一日を使ったな」という静かな満足が残ります。
今回の5軒へは、合計で28回足を運びました。
そのうち、予定どおりの量だけ食べて帰った日は、おそらく11回です。残りの17回は、カステラやだんごを追加したり、スープを予定以上に飲んだりしています。数字を出すのが好きな割に、食欲の管理には数字を活用できていません。
埼玉は東京の隣なのに、東京ではない。
けれど、都内へ出なくても、誰かに話したくなる一杯や一本が点々と続いています。川島町の場所をうまく説明できなくても、だんごを食べた場所としてなら覚えていられる。それで十分なのだと思います。
私は埼玉県内を日常的に移動しながら、月に数日だけセラピストとしても活動しています。
食べ物の好みと同じで、人と過ごす時間にも相性があります。だから、「誰にでも合います」とは言いません。
ただ、私が何を見て、どう感じる人間なのか。この文章から少しでも気になったなら、もう少しだけ私の話を読んでみてください。
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所沢・ふじみ野・川島町からも会える距離で活動しています
予約を決めてから読むページではありません。どんな人なのか、どんな時間を大切にしているのか。まずは確かめるだけで大丈夫です。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
私は埼玉出身の40歳、地元の飲食店を巡りながら、月に2〜3日だけ「もう一つの仕事」もしています。埼玉のことを、たぶん誰よりも自虐的に、そして誰よりも愛して書いている自覚があります。
もし少しでも「この人の目線が気になる」と感じていただけたら、まずはプロフィールをご覧ください。
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